Case 01 — 大手SIerの新規プロダクト

ターゲットを決めてから、機能を積み上げた。

良いものはできていました。ただ、そのプロダクトが誰のどんな課題を解決するのかが決まっていませんでした。

業界
大手SIerの新規プロダクト
構成
既存プロダクトを市場に合わせて定義し直し、その定義に沿って機能を積み上げる
期間
2025年1月〜(継続中)
立場
事業構想・ポジショニング設計(実装は別のチーム)
領域
思想 / 事業 / 情報

集約 → 分析

プロダクトのコアバリュー

提供価値の定義を置き換えた

3か年

策定した事業計画

定義 → 機能

実装への反映

新しい定義に沿って機能を継続的に更新

01—状況

良いものは、できていた

プロダクトは完成していました。システム監視ツールへのリンクを一か所に集めるシステムです。正しく作られていて、問題なく動きます。技術の問題は一つもありませんでした。

決まっていなかったのは、その手前です。誰に向けたもので、その人のどんな課題を解決するのか。ターゲットと提供価値を定めないまま、機能が先にできあがっていました。

02—診断

機能ではなく、立ち位置の問題だった

田村屋は、機能が足りないとは見ませんでした。問題は、市場のどこに立つかが決まっていないことでした。

AIでIT運用を自動化するAIOpsの領域は、監視・分析・自動化の3段階に分かれます。リンクの集約は、このうち監視の周辺にあたります。一方で顧客が予算を付けるのは、集めた情報を使う分析の段階です。障害が起きてから動くのではなく、起きる前に手を打つ。その判断を助ける機能に、顧客はお金を払います。

さらに、事業会社にとってAIOpsは、本業の傍らで面倒を見る領域です。「便利な道具です」と訴えるだけでは、検討の候補に入りにくくなります。誰のどんな課題を解決するのかを、先に決める必要がありました。

03—判断

コアバリューの置き場所を移した

田村屋は、白紙から作り直すことを勧めませんでした。先に変えたのは、プロダクトの定義です。

同じプロダクトを「情報を集めるもの」から「情報を分析するもの」へ定義し直しました。集めることは目的ではなく、分析の前提という位置づけになります。市場の関心がマルチモーダルAIへ移ったことも重なり、集めた情報をAIで読み取り、組織のナレッジとして返す方向へ進路を変えました。

定義が決まって初めて、何を作り足すべきかが決まります。その後の機能は、この定義に沿って積み上げられていきました。

04—結果

売り物としての形を得た

定義が変わってから、プロダクトの中身も変わりました。マルチモーダルAIを取り込み、蓄積した情報をナレッジとして返す機能が継続的に加わっています。3か年の事業計画が組まれ、どの順番で市場に出すかも決まりました。

実装は別のチームが担っています。田村屋の仕事は、そのチームが何を作るべきかを決めることです。

Approach

この案件での関わり方

機能の前に、立ち位置を疑う

「何が足りないか」から考え始めることはしません。誰に向けて、どの課題を解決するものなのか。市場での立ち位置が決まっているかを先に確かめます。

領域の構造から、価値の在り処を特定する

その領域がいくつの段階でできていて、顧客がどの段階にお金を払うのかを分解します。感覚ではなく、領域の構造から立ち位置を決めます。

定義を先に動かし、実装をそれに追随させる

作り直しは最後の手段です。既存のプロダクトを活かしたまま提供価値の定義を移し、その定義に沿って機能を積み上げます。このほうが速く進み、失うものも少なく済みます。

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